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好きなものを好きな分だけ

成人済腐。萩松/降新・安コ。ハピエン大好きなメリバ脳。字をもそもそ書きます。140字に要約する能力と検索避け文字列がしんどいため長文用にブログ作りました(一括metaタグ入れてあります)

『メイストームの中心は恋人繋ぎ』

#星降るワンドロワンライ (@frsn__01)
CP:降新(と3/4組)(DD)
お題:恋人繋ぎ

恋人繋ぎヤッホオォォ!!
私得のお題でしたので賑やかしに。
3/4組の性格や口調、一人称、違ってたらあとで直します。

「結婚してもこの繋ぎ方は『恋人繋ぎ』だろうか」
 左薬指にダイヤの埋め込まれたプラチナリングを光らせ、祈りのポーズで工藤が真面目な顔で呟いた。
「……まあそうなんじゃね?」
 隣で歩くオレがテキトーに相槌を打つと、反対側にの服部も「せやろな」とテキトーに肯定した。
「何か気になることでもあったんですか?」
 白馬がオレを挟んで工藤に問いかける。工藤は真面目な表情を崩さず白馬の顔を見た。
「オレたちって恋人期間限られてるじゃん?」
「二十歳になったら婚姻届出すって言ってたもんな」
「そう、現段階での予定ではパートナーシップ制度の宣誓書だけど、同性婚認められたら即、婚姻届。で、恋人といっても高校卒業してすぐの誕生日にプロポーズされて婚約したから、今婚約期間中だし」
 指輪を大事そうに見つめながら工藤は言う。前向いて歩け。転ばないか怖い。
「だからよ、結婚した数年後もこの繋ぎ方したらまた恋人になれるのかな? ってちょっと思った」
「おや、僕と結婚するのは嫌かい?」
 甘い声に全員がビッと背筋が伸びる。高級な革靴を高らかに鳴り響かせて登場した工藤のフィアンセにキッド時代の恐怖心が拭えず汗が吹き出る。
「零さん!」
 グレーのスーツの長身男性に、更に甘えた声をかけて走り寄り、「今日どうしたの、迎えの日じゃねーだろ」と喜びを隠す様子もなく工藤が話しかける。背景が薔薇でいっぱいだ、こわ。
「夕飯だけ一緒できそうだったからつい拾いに来たんだけど、迷惑だったかい?」
「ううん! 嬉しい! どこ?」
「学校帰りだし、僕も二十一時には戻らないといけないからね、チェーン店のパスタ屋は?」
「いいな、行く!」
 するりと工藤の耳を撫で、自然な動きで左手を取って指を絡ませ、恋人繋ぎにした工藤のフィアンセは、オレたちに一礼すると駐車場にだろう、工藤を連れて歩き出す。「じゃーな!」と工藤も振り返って別れを告げ、オレたちも「ほな明日な」「一限からだぞ」「お気をつけて」と好き勝手に声をかけた。
 先行く道で、工藤がくにくにと指を動かす。何だい、と目で聞くフィアンセの掌に何事かを書いて、くすくす笑った。擽っているようにも見えるが、フィアンセが回答を工藤の掌に書いたらしく、ふたりしていちゃいちゃと歩みがのんびりなものとなる。肩をゆらゆらぶつけて、指を一本ずつ絡めては離し、離しては絡め、ようやくまた恋人繋ぎになったと思ったら既に曲がる道だったらしく、オレたちの視界からふわりと消えた。
「……相変わらずなこっちゃ」
 服部が唸る。その通りだよ。時間にして十分に満たなかったと思うが、とんでもない砂糖の嵐に遭った気分だ。
「学生結婚させる気満々なところを、工藤の親父さんたちがせめて二十歳からってストップかけたんだっけ……?」
「降谷さんに、結婚をしたくてもその前にあっけなく亡くなった友人がいたからって話でしたよね」
 やれやれと肩を竦め、工藤の現状に天を仰ぐと、白馬が頷いた。到底、同い年の人間に起こったこととは思えない。
「職業が職業やのに、人はいついなくなるかわからんからって、舵を振り切るにも程があるっちゅーか……」
「それを全力で受け入れて婚約、結婚にひた走る工藤の雄々しさよ」
「そして悩みが恋人期間の短さですからね」
 はー、と三人して溜め息を吐いた。
 何となく、婚約期間の今は工藤にとっては恋人期間にカウントしづらいのかもしれない。一時期、時の流れに反したことがある身だからこそ、青春をきちんと過ごしたい一方で、年上の恋人の願望に応えたい事情もあるのだろう。
 それが結婚後の恋人繋ぎの名称、ひいては気持ちの変化への焦りとなってしまうのが、やはりオレたち十代の若さといったところだ。
 あの恋人繋ぎの掌には何て書いたのだろう。きっと甘い嵐を起こした自覚のない、笑い合える他愛のない睦言なんだろうとは思うけど。
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