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好きなものを好きな分だけ

成人済腐。萩松/降新・安コ。ハピエン大好きなメリバ脳。字をもそもそ書きます。140字に要約する能力と検索避け文字列がしんどいため長文用にブログ作りました(一括metaタグ入れてあります)

『姉の日』

「恋のアクセルベタ踏みで 星願2025」(2025年6月15日開催)の無配です。
イベント前日に隻眼の追加映像を観てカッとなって書きました。

JC千速とDS研二と陣平です。
追加映像のネタバレはありませんが影響は受けてます。
本文のあと、どんな影響を受けたか執筆裏話を載せておきます。




「姉ちゃん」
「何だ、研二」
「何で姉の日ってないの?」
 学校帰りの夕飯までの時刻。漢字と英語だらけの車の雑誌を一丁前に読んでいた研二が問いかけた。カーペットにそのまま座る研二の隣では陣平が同じ雑誌を覗き込んでいる。ローテーブルには何なく、ランドセルがきちんとふたつ並んでいるところを見ると、宿題は終えたらしい。こちらも宿題を終わらせてお茶を飲みに来た千速は、リビングで寛ぐ弟に「さあ」と返した。
「ほら、次の日曜は父の日でしょ、この前は母の日があったし、きんろーかんしゃの日には、おじいちゃんとおばあちゃんに電話するじゃん?」
「それを言うなら敬老の日だろ」
 陣平がツッコミを入れた。冷蔵庫から麦茶を取り出してグラスに注ぎながら千速は適当に考える。
「歴史上、姉や兄に感謝する偉い人がいなかった、ってことじゃないか?」
「ふーん……じゃあ今日にしよう! 姉ちゃん、レターセットちょうだい!」
 ゴクゴクと二口飲んだところで千速は眉間に皺を寄せる。
「何で」
「姉ちゃんに手紙書く!」
「いやだから何で、私が貰う手紙を私が用意するんだ」
 おねがぁいとオネダリ上手な研二にやれやれと溜め息を吐いて、自室からメモパッドを持ってくる。友人に倣って買ったが授業中の手紙のやりとりにはあまり活かせていない、海の生き物が泳ぐポップな可愛いメモだ。リビングに戻れば、ランドセルから筆箱を取り出してえんぴつを準備している小学生がいた。ペコンとメモパッドの面で研二の頭を叩いて渡す。
「イテ」
「ありがたく使えよ」
 「はーい」と返す研二に、「急に言われても何も思いつかねぇよ」と巻き込まれた陣平がぼやいている。しばらくの無言のあと、研二がぴょこぴょこ寄ってきて、遅れて陣平も千速のもとにやってきた。
「姉の日です! いつもありがとう!」
「俺も感謝してやるぜ」
 麦茶を飲み干した千速が受け取った二枚の手紙。千速はふたりの思いを無下にすることはせず丁寧に受け取った。
「『いっぱい勉強教えてくれてありがとうゴザイマス』……何でカナ混じり? まあいいけどな、どういたしまして」
「えへへー」
 次に陣平からの手紙に目を落とした千速は首を傾げて、くすくす笑い出した。
「『手紙ありがとう』」
「え、なになに、陣平ちゃん、思いつかないって言ってたのに姉ちゃんから素直にお礼言われるぐらい真面目なお手紙書いたの?」
「違う違う、いや違わないがな、ははっ」
 千速は陣平の手紙を読み上げただけなのだが、無理もない。陣平は『手紙』すなわち『メモ用紙』を貰ったことにお礼を書いていたのだ。姉の日にふさわしい文言が思いつかないのは嘘ではなかったようだ。
「ふたりとも、手紙ありがとう。姉の日、いいものだな」
 千速は笑顔で二枚のメモを押し頂くと、にこにこ顔のふたりを置いて自室に戻る。普段あまり使わない引き出しの奥から手紙入れとして使っているクッキーの缶を引っ張り出し、一番上にそっと置く。どうせ来年はない記念日だ。今日の思い出を大事にしようと、千速はゆっくり蓋をしめた。



執筆裏話(追加映像ネタバレ)
・テーマ1「伝えたかったこと」(映画の追加映像の千速のセリフより)
「お前」って誰?
研二? 陣平?
わからなかったので両者出演させ、千速に何かしら伝えてもらいました。
重悟の可能性もありますけどあの映像からそれはない……いや予告は本編の切り取りだからな……?
弟の仇のためには命を賭ける価値はある、と言っていた千速はきっと、何気ない一過性のやりとりも大事にしているだろうなと思っています。

・テーマ2「姉の日」
「あの日」って11月7日だよね?
じゃあ絶対被らない日にしておこうね!
イベント開催日が父の日だったので、「姉の日」にしました。季節もそのくらい。
1994年に制定された姉の日は12月6日だそうです。
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プロフィール

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・成人済腐
・萩松/降新・安コ
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・140字に要約する能力と検索避け文字列がしんどいため長文用にブログ作りました(一括metaタグ入れてあります)

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